言い表せない瞬間

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ちゅっとキスをして出て行った蒼に手を振って。 私も仕事に行く準備をする。 それにしても、眠い。 昨日はいつもより早く寝た気がする。 ぐっすり寝た感覚もあるし、寝不足という感じもない。 なのに、眠い。 仕事が終わって、蘭ちゃんとの待ち合わせ。 彼女お勧めのオシャレなお店に入って。 少し奥の席に案内された。 「で?」 「うん?」 「なんか、ぼんやりしてる」 「え、そう?」 彼女の言葉に首をかしげた。 今日一日ちゃんと仕事もした。 なにか手順を間違えることだってなかったし。 アキラさんにも何も言われなかった。 「どこか具合でもわるいの?」 心配そうに覗き込む彼女に。 「んー、とにかくすっごい眠いくらいかな」 「……眠い?」 「うん、昨日も早く寝たし熟睡してるんだけど、」 「貧血とか、大丈夫なの?」 「んー、どうかな。気をつけてサプリとかは飲んでるけど」 言いながら手帳を取り出して。 「あ、もうすぐ生理だからかも」 呟いたら、手から取り上げられたカクテルグラス。
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