言い表せない瞬間

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蘭ちゃんと別れ、自宅に帰ってきた。 そして真っ直ぐ寝室に向かっていき、クローゼットの引き出しを開ける。 そこから取り出した細長い箱の横書きをじっと見つめた。 実は、いつでもいいと思って買ってあったんだよね、コレ。 ……生理って、そういえば。 先月から数えたらもう5日は経ってるかも。 じっと見つめて。 思い切って箱を開けた。 ……おぉ、 説明書を何度も読んで。 …………、 でた。 大して待たずに、あっという間に反応が出てしまった! さて。 どうやって、蒼に伝えよう。 来週はクリスマスだ。 思い切って一人で病院行って……、 いやいや、ひとりはちょっと怖いし。 病院なんてめったに行かないから、やだ、こわい。 ソファに座って。 目の間のローテーブルに置いた検査薬をじっと見つめる。 一体どれくらいそうしていたか。 ――カチャッ、 リビングのドアがあいて、飛び上がった。 「っ、あぁ、なんだ、寝てなかったのか」 「そ、蒼、おかえり」 「あぁ、ただいま」 すたすたとこっちに来た蒼がローテーブルに視線をとめて。 傍に膝まづいた。 「っ!とも、これっ」 「ん、」 「……マジか」 「ん、」
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