思い浮かべる笑顔

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芳沢総合病院。 街の一番大きな病院の待合室で隣の蒼の手をつかんだ。 「大丈夫だ」 「ん、」 もともと病院なんてめったにかからないから。 たとえ病気ではない今回も、そわそわ落ち着かない。 順番が来て、待合室で待つ蒼の視線に後ろ髪を引かれつつ。 診察室に入る。 一通り検査を終えて。 「妊娠6週目ですよ」 にっこり笑った先生にほっと安心した。 「エコー検査しましょうね」 ベッドに横になってお腹にエコーを当てる。 まだ豆みたいなエコー写真を貰い、 「ここが袋になっていて、この小さい丸が赤ちゃんとなる胎芽ですよ」 まだ小さな小さなソレを眺めながら。 診察室から出る。 「とも、」 小さく呼ばれた声に思わずうるっと目に幕が張って。 「ほら、みて。6週目だって」 「っ、」
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