橙色のaffection

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「くくくっ、蒼、その視線やめろ」 「あぁ?視線で切り刻んでやろうか」 「怖ぇこと言うな!っつーか、ともの手離すんじゃねぇぞ。転んだら困るからな」 「あぁ、それはもう十分わかってる」 …………。 ちょっと、ケンまで! 「2人とも!!私、転ばないってば!」 「ははっ、既に蒼にからかわれてたか」 「今日家出る時な」 「ほんと、失礼しちゃうよね」 「くくっ、足元おぼつかねぇ小鹿かと思ってた」 「ははっ、何だ俺もだわ」 「な、」 「だな」 随分楽しそうに肩を揺らす二人にため息吐いて。 私はふっと笑みを漏らす。 「とも」 いつもは大体ふざけて“ともチャン”と呼ぶケンは。 やっぱり真剣な時は私を“とも”と呼ぶ。 その声に視線を向ければ。 「無理すんじゃねぇぞ」 ほんの少し心配を瞳に混ぜて私を見る。 「うん、ありがとう」 「蒼はいつも傍にいるだろうが、2人でどうしようもなくなった時は、俺がここにいるから」 「ん、」 蒼と手をつなぐ帰り道。 「相変わらずアイツはともを溺愛してるよな」 苦笑を洩らす蒼に私もちょっと笑いながら。 「ケンはとっても優しいから」 「あぁ、だな。……頼りまくって入り浸ってやるか」 「あはは、」 きっと、それでも彼は、 【その眼差しを緩く細めるだろう】
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