ゼウスの一撃に防御する腕

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まさか雷が怖いとは知らなかった。 過去を思い出しても……あー、記憶にねぇ。 ゆっくり背中をさすってやれば、ますます俺にしがみつくともは。 可愛い以外のなにものでもねぇな、これは。 「くくくっ」 「――っ、ぅわっ、」 また近くで落ちたような音の雷に飛び上がり。 「くくくっ、ともさん」 「ん、」 「そんな力一杯しがみつくな」 「ん、」 それでも緩まる事がない手に、まぁわざわざ離れる必要もないわけだ。 ゆっくりさすっていた背中に、今度はこの両腕をまわして。 「――、……く、くるしい」 「くくっ、しょうがねぇだろ」 なにが? くぐもった声が胸元から響きまた笑わずにはいられない。 「お前が可愛すぎるから」 ゆっくり頭を撫でて、ほら落ち着いてきたじゃねぇか。 電気も復旧した。 雷も少し遠ざかった。 こうやって抱きしめているもの心地いいが。 「とも」 「ん、」 「そろそろ顔、みせろ」 ゆっくり持ち上がった所で見つけたおでこの赤みは。 「……抱きしめすぎたか?」 「ううん、雷に驚いて……そこの扉に、」 驚いて扉にぶつける? ったくこいつはほんと……、 眉を下げてしょげるそのおでこににキスをする。 「呆れた?」 「いいや、惚れなおした」 【青いイナズマが落とすキス】
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