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しかし……。
この先には俺が寄ろうと思ってるところがあるんだが。
もしかしてコイツ、ずっと一緒の方向か?
そうすればますますめんどくせぇと思いながら。
早くどこかで曲がれよなんて内心毒づいて。
とうとう着いた目的地。
「……じゃあ、俺はここに寄るから、またな」
手を振って、さっさと行ってくれ、そう思っていれば。
「あ!なに、お前コーヒー飲んで帰るのか?俺もココずっと気になってたんだよなー!よし、一緒にはいる!」
……マジかよ
ありえねぇ。
俺は最初から一緒に歩きたくねぇと露骨に出しただろうが!
ってことは、ここにも一緒に寄りたくねぇと言ってるようなもんだろ!!
さっさとドアへの階段3段を大股で飛ばしたコイツは、軽快にドアベルを鳴らしながら一歩中に入った。
「いらっしゃいませ」
いつもなら心地のいいこの声も、今日だけはため息がつきたくなる。
何故こいつに聞かせてやらなきゃならねぇんだ。
「うわ、雰囲気のいいカフェだな?」
コイツは店内をぐるっと見てからカウンター席に歩いて行く。
俺はその後ろ、未だカウンター内にいる店員に視線を向け。
……知らないふり、しろ
僅かに首を振った。
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