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あー、頭痛くなってきた。
本来なら、俺は一人でここに来て、おいしいコーヒー飲んで一緒に帰って途中買い物寄って帰るつもりだった。
この男のおかげで俺の予定が台無しだろ。
「ふふっ、すっごくかっこいい旦那さんです」
カウンター内で優しく微笑みながら、コーヒーを落とすそのしぐさに。
ため息をはいて。
隣に座るこの男があまり口が軽くない事を願いながら。
「当たり前だろ。俺がそうなんだから」
隣に視線を流せば、ぽかんとしたこの男は。
「え、え、え?」
「だから。コイツは俺の奥様で、俺はコイツの旦那様」
「ふふっ、主人がいつもお世話になっております」
「わ、わわわわ、い、いえいえ、こちらこそ!」
「とも。俺はコイツに世話になってねぇ。むしろ俺が世話してやってんだ」
「また、そんなこと言って」
コーヒーを目の前に出されたこの男は、熱いのに半分飲み干して。
「び、ビックリしました!えっと、僕は西嶋の同期の小田と言います!」
深くお辞儀した頭を、テーブルにぶつけやがった。
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