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*第3者目線です*
「西嶋、ちょっと、」
課長が西嶋くんを呼ぶ。
彼は真剣な顔で頷くと、最後は少し口角を上げて軽くぺこりとお辞儀をしてデスクに戻る。
こんな光景は珍しくなくて。
彼、西嶋君が課長に頼りにされてるのが目に見えてわかる。
私は、そんな彼の斜め前のデスクからこっそり盗み見て、今日も一人、心の中で嬉しさをかみしめた。
だって。
彼が口角を上げるのは、殆どその時だけ、だから。
そしてソレが見えるのも、このデスクからだけ。
同期の私達の前でも殆ど笑う事は無いし。
どちらかというと、僅かに眉を寄せてる方が多いし……。
彼、西嶋君は、すらっと背も高くて、とにかくイケメンだ。
いつもスーツの上着はイスの背にかけていて。
今日は白い襟で薄いブルーのストライプシャツ。
ほんの少しネクタイを緩めてて、腕まくりをしている。
そこから出る腕は筋肉がついて、血管浮き出てて。
着けてるゴツイ腕時計がまた、きゅんっとしてしまう。
お昼休み、彼は必ず給湯室に足を運ぶ。
そしてコーヒーを淹れて戻ってくるんだけど。
今日こそは!
私が彼のコーヒーを入れたい、なんて。
ドキドキうるさく鳴りだした心臓を押さえながら。
チャイムと同時に席を立った。
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