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「蒼ー?」
「なんだー?」
「準備できたー」
そう言いながら。
実は今せっせと鞄に財布やら、ポケットティッシュにハンカチ、小さな鏡とリップの入ったポーチ、その他もろもろを詰め込んでいて。
「ならはやくこーい」
「えっ、蒼もう玄関ー?」
「かれこれもう随分前から……」
彼がいい終わる前に、慌てて寝室を出れば。
蒼はキッチンで肩を揺らしながらのんびりコーヒーをすすっていた。
「……あぁ、やられた」
「くくっ、俺は玄関にいるとはいってねぇぞ?」
「……むぅ」
「ははっ、そうむくれるな。準備できたんだろ?」
「ん、」
「いつもより5分早かったな」
「おかげで鞄の中ぐちゃぐちゃです」
「くくっ、車の中で直せばいいだろ」
「そうだね。よし、出発!」
いそいそと玄関に足を進める私の後ろからついてくる彼は。
やっぱりくつくつと笑っていて。
でもその声が心地よく響いて。
今日も私はご機嫌なのです。
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