遊び疲れた先に光る星

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マンションの駐車場は地下にあって。 エレベーターを降りて車まで歩けば、 「ほら、」 「ふふっ、ありがと」 「いいえ、どういたしまして」 必ず助手席側に到着するから。 こうやって蒼は相変わらず車のドアを開けてくれるのだ。 小春日和になった今日は連休の初日。 変な渋滞に巻き込まれたくないと、普段のんびり出発するお出かけも、今日は少し早い時間。 「ほら、」 「あれ、持ってきてくれたの?」 「くくっ、お前のはミルク入り」 「ふふっ、ありがとう」 「いいえ、どういたしまして」 軽い朝食後、蒼に多めにコーヒー淹れてくれと頼まれて。 それならと今日はコーヒーメーカーでセットした。 今渡されたおそろいの携帯タンブラーの中はコーヒー。 彼は多めに入れたソレを入れて来てくれた。 「さっき飲んでたよね?」 「あぁ、少し余った分な」 「そっか。ふふっ」 「うん?どうした?」 「気がきく旦那様だなーって思って」 「だろ。俺以上に気の利くやつはそうそういねぇぞ」 運転しながらちらりとこちらに流す視線が合えば。 彼は前を向きながら、ふっと目元を緩めた。
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