遊び疲れた先に光る星

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帰り道はあっという間だと思うのはいつもの事。 テイクアウトした飲み物を飲みながら。 「あっ、」 「っ、なんだ、驚かすな」 「ご、ごめん」 「どうしたんだ?」 「アレ、買うの忘れた」 「……あれ?」 「一番最初に見たバスケット」 あぁ、ちょこちょこ思いだしてたんだけどな…… 凄く可愛くて大きさもちょうど良かったけれど。 そんなにピクニックに行くわけじゃないし……。 「そんな落ち込むな」 「大丈夫。落ち込んでないよ」 「そうか?」 「ん。だって……もうそろそろ寒くなってくるから、ピクニック行かないし」 「…………」 「あの大きさなら、置く場所に困るし」 「くくっ、買わなかった理由づけも大変だな?」 「……じゃないとがっかりしたままじゃ、やだもん」 「やだもんって……くくっ」 「むぅ」 「とも」 「なぁに?」 「一番最後に必要なものは俺が覚えてるから安心しろ」 「……一番最後に必要なもの……?」 「ともの疲れが一気に吹き飛ぶもの」 「っ、ケンのケーキ!」 「くくっ、ご名答」 やっぱりこうやって私を喜ばせる術をちゃんと知ってるんだもん。 蒼には敵わないなぁ。
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