遊び疲れた先に光る星

7/7
前へ
/284ページ
次へ
可愛いお店の横、車を止めて。 私はエンジンが切れたと同時に車を降りる。 お店のドアを開ければ、 ――カランカラン、 少し籠ったベルの音。 「いらっしゃいませ、西嶋の奥さま」 「ふふっ、ケンちゃん、かぼちゃのケーキもうありますか?」 聞けば彼は黒ぶち眼鏡を人差し指の背で持ち上げて。 いつものように柔らかく微笑んだ。 「なに、お前らどこか行ってきたのか?」 後ろから入ってきた蒼にケンは視線を向けて。 ガラスケースの扉を開けると、かぼちゃのケーキを取り出した。 「あぁ、連休だからな」 「んー?連休のわりに、日帰りか?」 「明日は別なところにお買いものなの!」 「くくっ、だそうです」 「最終日はまったりおうちで過ごします」 「なぁに、予定ぎっしりじゃねぇの」 「でしょー?」 詰めてもらったケーキは3個。 コレはずっと変わらない。 いつも居る従業員さんにお会計を済ませて。 箱に入ったケーキをケンから受け取るのは蒼。 「ともぉ」 「なぁに?」 「来月入ったら栗とサツマイモ、新作なー」 「わっ、ぜったいそれ食べたい!また来るから!」 「ははっ、またのお越しをお待ちしております」 手を振ってお店を出ればすでに暗くなった空を見上げて。 あ、あの星は確か、 【南瓜色に光るカペラ】
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

491人が本棚に入れています
本棚に追加