伝説グッバイ

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≪side kiritani≫ 折角の休みもする事がなくて。 この街に電車で通うたび、車内から見えていたモールの看板を思い出して、思い切ってやってきた。 休み明け、同僚たちと飲み会もあるし、ちょっと可愛いスカートなんか見つかればいいな。 まぁ、その飲み会も煩い小田がいるのはいつもだけど、西嶋君が来ないとなれば、可愛いスカートも少しレベルが落ちてしまう。 あーあ、どうせならこんなところでバッタリ出くわしたり…… 「うそ、」 思わず声に出てしまった。 だって、少し向こう、吹き抜けになった柵に寄り掛かるように立っているのはたった今バッタリ会えたらいいななんて思ってた、 「西嶋くん、」 「ん?……あぁ、桐谷か」 「ぐ、偶然ね。こんなところで」 「あぁ、そうだな」 「わ、私も折角休みだし、ここ、来てみようかななんて、思って……西嶋君も、買い物?」 「あぁ、そんなところだ」 持ってる袋はメンズのショップ、雑貨屋の紙袋、それから人気のショップの袋……女性のショップの袋ってことは。 「奥さんも……一緒?」 恐る恐る、見上げれば。 彼は横を振り返り、それから少し目を見開いて。 見たことない、凄く優しい顔で笑う。 そして、彼の呼ぶ名前は凄く大切そうに響いて届き――、
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