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少し太めのすらりと伸びた茎の先。
薄いピンクの花びらがぐるっと一周していて。
中心はこい茶色。
「……そのガーベラ、どうした?」
長い指がすっと指したそこから手繰るように見上げれば。
蒼が僅かに首をかしげた。
「あのね、『Sol』でお花飾るでしょ?いつもアキラさんが来るときに持ってくるんだけれど、今日はいつもの近くのお花屋さんがしまっててね」
話をしながら花瓶を持ち上げて。
私は食卓テーブルの中心にそれを置いた。
「少し遠い所に私が買いに行ったんだ」
ねー、とお花に話しかけるようにしたら。
苦笑しつつ蒼は首をかしげて。
「少し遠い?」
「うん、『白鳥フラワーショップ!』」
人差し指を立てて言えば、彼は肩を揺らした。
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