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「蒼はピンク、キイちゃんは黄色。蓮は赤で、ケンはオレンジ」
「くくっ、」
「タケは白だったと思う」
「よし、ちょっと調べるか」
夕飯の準備を始めていた私を置いて。
蒼は書斎にしている部屋に入って行く。
きっとパソコンで調べてるんだろうな。
しばらくしてくつくつと肩を揺らしながら戻ってきた蒼は。
キッチンカウンターに腕を乗せ、ぺらり、メモ用紙を振った。
「くくっ、黄色は“親しみやすい”」
「……あー、親しみやすいよね」
「くくくっ、オレンジは“我慢強さ”」
「……ん、」
「白は“律義”」
「うわー……ぴったり」
「赤は“神秘の愛”」
「……当時は合ってるのかも」
「だな。ラスト、ピンクは“熱愛”“崇高美”」
「…………」
「俺は敢えてピンクを選んだ」
今ならわかる。
ずっと思ってくれてた彼の気持ち。
「だが、今なら俺はこれを選らばねぇ」
「え、」
「いつか贈ってやるよ。真っ赤なバラをな」
にやりと笑った彼に頬が染まる。
それなら私は何を還す?
まずは腕によりをかけた、
【貴方の大好きな夕飯のおかず】
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