滴る雫が足跡を残す

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「くくっ、それは嬉しい言葉だが。とも」 「……なぁに?」 「お前は毎回俺を煽るだろ。なかなか俺も慣れねぇんだよ」 首をかしげた私に、少し体を倒すと。 蒼はするりと頬を撫でた。 「そうやって頬染めてちらちら見られてる俺の身にもなれ」 「……そ、」 「なんならここで襲うぞ」 笑ってからゆっくり抱き寄せて。 私はだらり、体を伸ばして抱きしめられる。 「とも」 「……ん、」 「さっさと上がってがんばるぞ」 「……がんばるって?」 顔を上げた私に深いキスとすると。 蒼はにやりと笑い、 「子作り」 言うや否や、膝の裏に腕が入って。 お姫様だっこでお風呂からあがる。 「ま、ままままってまって」 「またねぇ」 「ちょっと、私逆上せて鼻血でそ……」 「そんなお前も愛してるぞ」 「あっ……今ちょっとくらっときた」 「くくっ、取り合えずこのまま……」 「ぜ、全然拭いてないよ」 「じゃあ……ほら、タオル届くだろ」 「…………」 「よし、それでまず自分を拭け」 「…………」 「その後俺も拭け……足は、気にするな」 「足が一番重要だよ。床濡れちゃう」 「いずれ乾く」 「もう、蒼ってば」 「くくっ、暴れたら落とすぞ」 「っ、」 「おっ、大人しくなったな」 冷たいシーツと覆う熱に挟まれて、 聞こえるのは煩い鼓動と、 【軋むスプリング】
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