予想外に問題外

2/5
487人が本棚に入れています
本棚に追加
/284ページ
「――っ、……あーっ、くそっ」 ごしごし、ごしごし。 動くたび、静かな水面は高く波を打ち。 強くこすりつける手をどうする事も出来ないでいる彼の。 その、どうする事も出来ないソレに。 私はとうとうしがみついて。 「蒼、」 「んっ、」 「だめだよ、もう。それ以上やったら、」 「つっても、止められねぇんだよ」 無理やりそこからしがみついた腕を離させる。 「ほら、もうこすらないで」 「あー……だめだ、とも。離せ」 「イヤ、」 「とも、マジで頼む」 「ダメっ。ほら、」 私は思い切り眉を寄せる蒼の顔を覗き込んで。 「あー、やっぱり。目、赤くなってるよ」 「仕方ねぇだろ、すげーかゆいんだって」 「きっと、疲れ目だよー」 「……あー、だろうな。仕事でパソコンばっか見てるし」 「あっ、」 「ん?」 「蒼、目、こすり過ぎて二重になってる」 「……まずいな」 「ん?」 「これ以上イケメンになったら、女子が黙っちゃいねぇ」 「……戻して」 「あぁ?」 「二重、もどして」 「……くっ、くくっ、ははははっ、」 「笑い事じゃないよっ」 「あはははっ、んな心配すんな」 「心配するよ!ただでさえかっこいいから、会社の女の子とか居ると思うと気が気じゃないのに」
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!