ムーンライトセレナーデ

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「あー……なるほどな」 ふいに。 蒼が月を見上げながら呟いて。 その手を私の頭に乗せる。 「うん?」 「んー」 質問とも返事ともなさない声を出し合って。 私はお団子を頬張った。 「とも、」 「なぁに?」 「……“月が綺麗ですね”」 あぁ。 蒼ってば。 何気ないこんな時に“言われる”と、物凄く照れてしまう。 だけど。 そんな愛の言葉に返すなら、私は―― 「蒼、」 「あぁ」 「それなら私は“死んでもいいわ”」 見上げていた彼の視線がゆっくり下りて来て。 近づいた彼はこめかみにキスを落とす。 「随分ロマンチックじゃねぇか」 「ふふっ、よく知ってたね?」 「博識なんで」 「もう、またー」 「くくっ」 肩を揺らす蒼は私の頬を撫でてから。 むにっ、つまんだ。 「くくっ、お前は月より団子だな」 「違いますっ」 「くくくっ、」 笑う彼をひと睨み。 月より団子? 蒼ってば全然わかってない。 「月より団子より、貴方です」 既に緩められたネクタイを引っ張って。 口づければ、ほら。 やっぱり私はこっちの方がいいもの。 「ね?」 「あー、またやられた」 「また?」 「あぁ、お前にやられっぱなしだ」 わざとらしく片手で目元を覆う彼にくすくすと笑って。 その手を引っ張りベンチから立たせる。 ね、早く帰りましょ? そうして私を抱きしめて 【月光に浮かぶI love you】
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