第1章

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 E県から船で少々、A島へ上陸する。 ここは基本的には観光目的の島ではない。 宿泊施設等の設備はないし、来島客用の スタンスを島民わずか15名の方々は 用意していない。先住者の平穏かつ静かな 暮らしだけを守っている。  この島は実在するので検索すればすぐ 情報が手に入る。その情報の中で注意するのは 前述した「観光用の島ではない」事。  つまりサービスが無いという意味ではなく 住人の方々は普通に生活しているので、 迷惑をかけないよう充分配慮して準備して 礼儀を重んじるの常識だという事。  この小さな島が簡単に検索できる理由。 「15人の島民と猫100匹」で検索すれば 必ず意味が解ると思う。H県のO島みたいな ウサギ目一杯の島とはかなり違うのが解る。  時間や場所、量をマナーとして守れば ある程度、無数の猫たちと交流は許されるが 猫カフェろは違う。百匹近い猫たちも島民なのだ。  インターネットでウサギ島と猫たちのA島の 動画を比較して試聴させてくださる方もいるが 全く真逆であるのが解るとわかるとおもう。  猫たちは徹頭徹尾、自由に生きているのだ。 逆を言えば過保護でもない。自由に死も得ている。 共存共栄で島民なのだ。それを邪魔する権利は 猫同士でさえも無い。  はず。だったのだけど……。  島民の十数名は普通の生活をしている。 猫を商売として観光として扱う気持ちは無い。 家族だからだ。それは猫たちも判っている。  たまに珍しがって観光客が来るが、京都へ 旅行して舞妓さんに触るなら痴漢だし、 東京で撮影禁止のエリアを撮影を無許可でやれば お巡りさんの出番である。  故に、島民が暗黙の諒解で許容する場合以外は 猫達は外来者とコンタクトはとらない。 それがこの島のルール。島民の皆様は猫好きは少ない。 なんとなく共存している。隣近所さんかもしれない。  そう思って、そう聞いて、そう信じて。 70年前から私はこの島で、特別にテリトリーを 主張する事もなく、静かで穏やかで本質的に 猫に親切な島民の方々と、静かに生きてきた。           *  70年だよ?誤字でも何でも無いよ。この島は猫が 100匹以上いる。だからバレやしないのさ。 そう思って高を括って猫の中に紛れて生きてきた。  生涯をこの島で終らせてもいいって思うこともあった。 でも、やはりやるべき事を諦めたくない。
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