第5章 寂しがり屋の御曹司  蓮編

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男は、ソウイチロー・カワシマと名乗った。 父親が日系なのだが、本人は日本語が出来ないようで、すべて英語で話している。 ソウイチローに連れられて、元いたスーツケースの場所に戻ると、これまたマッチョな黒服の金髪の男が男を捕まえて、ふんぞり返っていた。 ソウイチローを見かけると、ふっと、肩を竦めた。 金髪マッチョが捕まえているのは、どうやら蓮のバックを奪った仲間らしく、蓮がバックの男を捕まえに追い掛けたところを、隠れていたこの男がスーツケースを盗もうとしていたらしい。 蓮は金髪マッチョとも、固い握手を交わすと、彼はジョーと名乗った。 泥棒2人を空港の警備の者へ預けると、彼らは迎えの車へと移動した。 迎えの車の後ろのドアを開けて、蓮は固まった。 「ようこそ、アメリカへ。」 後ろのシートには、彼の父親が足を組んで笑っていた。
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