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それを知っているから母親も父親も僕がクロを飼うことにダメと言わなかったのだろう。
それがどうして、クロを飼って一月足らずでおばあちゃんに預けなければならないだろう。
そのときの僕にそれを表す言葉は知らなかったが、知識のついた今で言うなら、それは理不尽以外の何者でもなかった。
僕はこの街で母親と父親と、そしてクロと一緒に生きていきたいだけなのに。
ただ、猫を飼いたいという我が儘は大人になるまで、もしかしたら一生我慢しなきゃならないのか。
そんなことを、喘息を起こした夜にはよく考えていた。
でも僕はもっと強い後悔をこのあとにすることになるーー。
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