神猫の物語～出会いの唄～

第十九話～僕の幸せとは？その二～

「私はあなたのお嫁になります。だけど、一つ約束してください。もし、あなたが絵かきの仕事がなくなっても絵を描くのをやめて他の仕事をしようとしないでください。その時は私が、あなたを食べさせてあげますから。一生、絵かきでいてください」

僕の目は見開いたろう。

「あなたは優しいから、絵で食べていけなくなったら私を食べさせるために簡単に他の仕事をするつもりでしょう？」

僕は参ったなと空いてる手で頭をかく。

「なぜ、君はそんなにお見通しなんだい？」

彼女は真っ赤な顔を笑顔にする。

「あなたは有言実行、無言実行。気付いていないでしょうけど、一番よい選択をしているんですよ。三年近く絵かきで稼いだからうちの親もあなたなら結婚してもいいと言ってくれてるんです。私のことを第一に始めから考えてくれていましたから。たまには私からの先手です」

僕はまた目を見開く。

「僕は君に敵うことはないと思っているのに」

彼女は、ふふふと声をあげる。