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「似た者同士ですね……。私たち、きっと上手くいきます」
「うん。約束する。僕は絵を止めない。だけど、絵だけで必ず一生、君を食べさせていく」
彼女は空いてる手で涙を拭う。
「私に働くなって言うんですか?」
「そうじゃない。子どもが、あるなら子どもが、ある程度大きくなるまでは、そういったろうけど、僕らは違う。僕らだけの人生を楽しもう」
彼女の笑顔が輝いてみえる。
こんなときは決まったセリフがくる。
「おかしな人ですねぇ。当たり前じゃないですか」
僕は大きく息を吐く。
「よかった……。そのセリフが出るなら僕もがんばれる。知ってるかい?そのセリフが僕がきみにぞっこんの理由なのを」
「……私もこれは、あなたにしか言わないですね……。そんなことを言われて喜ぶなんて本当におかしな人ですねぇ」
僕は可愛いからだよと言えずに笑顔を見せる。
「結婚式は、どうする?」
「いりません。写真があればいいです」
「そんなものでいいの?一生に一回しか、ないんだよ?」
「はい。どうしてもというなら金婚式の、ときにしてください」
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