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預けようとは思わないが、それを聞いてから父親の里帰りにはクロを連れていくようになった。
クロは、おばあちゃんにもよくなついて、おばあちゃんが座っているときは膝の上でスヤスヤと寝ていた。
「この子は猫のくせに人見知りしないね」
おばあちゃんは、感心して、そんなことをよく言っていた。
僕はそれを聞いて少し鼻が高くなった。
「当たり前だよ。僕が飼い主なんだもの」
「そうだね。おじいちゃんや私だと、こうはならなかったかもね。でもね、喘息が酷くなったら、おばあちゃんに預けてね。一時預かるだけなんだから」
僕はうんと答える。
良かった。おばあちゃんは僕とクロを引き離そうとしている訳じゃない。
僕は安心して、おばあちゃんの膝の上のクロの背を撫でた。
ごろごろと気持ちよさそうにのどを鳴らす。
おばあちゃんは、頭を撫でる。
そのときの気持ちを言葉に表すなら、温かいと表すだろう。
両親とは、また違う温かさだと僕は感じていた。
いつまでも、おばあちゃんの家にいたいような、そんな気持ちにさせる温かさだった。
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