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「僕のほうこそ、宜しくね。不甲斐ない旦那だけど……。大切にするよ」
当たり前ですと彼女は、またくすくす笑う。
どうにもこの人には敵わない。
「クロちゃんに感謝しなきゃ。こんな素敵な縁をくれたんだから……」
僕らは役所の自販機まで行き、缶コーヒーを二つ買う。
「どうして、ここでクロなの?」
「あなた、クロちゃんを描き続けてなかったら私との出会いはなかったんですよ。私、絵に興味なんかなかったんですもの。あのはじめての美術部であなたの描いたクロちゃんを見て……。それがあるから今があるんです。私の目は確かでした。あなたは私を大事にしてくれる……。今も昔も。だから私はクロちゃんに一番、感謝してるんです」
僕は缶コーヒーに一口、口をつけて変なのと微笑んだ。
「あなたほどじゃありません」
そう言った彼女に僕もくすくすと笑みを見せる。
「確かにクロに感謝しなきゃね。できるなら、もう一度会いたいなぁ。クロが本当に神猫になってていつか僕に会いに来てくれたらいいのに……」
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