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「でしたら、それまで長生きしないと……。きっとクロちゃんはあなたを見守ってくれてますよ。私はそう思いますよ。クロちゃんもあなたの飼い猫だったから幸せだったと思いますよ」
僕はポリポリと頭をかく。
「だったらいいけど……。なぜか君に言われると不思議なことも当たり前だと思ってしまう……」
「あなたはそれでいいんです。一生、ロマンチストでいてください。そんなあなたを私は好きになったのですから」
「うん……。行こうか」
「はい。早くお家に帰ってお仕事して下さい」
「参ったな……。今日くらい、いいだろうに……」
「何事も最初が肝心です。絵かきという人気商売なんですから、いつまでも売れているとは限りませんよ」
僕は彼女に背中を押されて市役所を後にする。
そう。この日から僕の、僕らの第二の人生がスタートしたんだ。
僕を事故から救ってくれた黒猫がクロだったかどうかは分からない。
でも、クロだったら……。
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