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おばあちゃんの家は、僕の住む街と同じ街にある。父親は、おばあちゃんと同居したいと言っていたが、おばあちゃんはうんと言わない、。
「ここが私の終の住みかだよ」
そう言って全く取り合わなかった。
僕はと言うとおばあちゃんと一緒に暮らしたいと思っていた。
だから、父親に賛成賛成と何度もおばあちゃんを呼ぶことを促した。
「もう年なんだから……」
父親は、何度もおばあちゃんに電話をしてそう言っていた。
おばあちゃんが、おばあちゃんの家にこだわる理由は何なのだろう。
僕はそれとなく母親に尋ねた。
「あの家は、おじいちゃんの建てた家だからじゃないかな。おじいちゃんのお墓も近くにあるから……」
僕は不思議に思った。お墓が近くにあることがそんなに大切なことなんだろうか。
先祖を敬うことは大切なことだと大人になった今では思っている。
だけど幼い僕は、おばあちゃんには安穏と暮らして欲しかった。
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