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「じゃあクロはまた、ああいう子が来たらあんなワガママ許すん?」
僕は言葉に詰まる。
そんなこと出来ない……。
「本当は許されることじゃないんよ。同じことを許さないためにも厳しくいかなきゃいけんよ……。優しいのはクロのいいところだけど、許しちゃいけんよ……」
そう言ってシロは奥歯を噛み締めた。
僕はそれに気づく。
「シロ、ごめんね……」
シロだって辛いんだ。
魂を天国に送る僕は感謝をされることが多いけど、魂を地獄に送るシロは恨まれることが多い……。
そんなシロだから出来た決断なのだろう。
「ええんよ。クロもしっかりあの子のお母さんを天国に導いてな……」
その数時間後、少年のお母さんは強盗に刺されて病院に運ばれた。
それを街の様子が見える鏡から覗いていたシロがはぁとため息を吐いた。
「……クロ、うちちょっと街に行ってくる。何かあったらよろしくね」
僕はうなずく。
シロが病院に付き添った少年のお父さんに会いに行くんだと思ったから……。
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