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痩せ細ったしわくちゃの手で畑仕事をするのも、一人で住むには広すぎる家を毎日、掃除するのも僕らと暮らせば、ずっと楽になるのに。
父親と母親の言うことは最もだと感じる。
だから、一年生の夏休みのときに父親にねだって、おばあちゃんの家に連れて行ってもらった。
そして、直接聞いたんだ。
「おばあちゃんは、どうして僕らと暮らすのが嫌なの?」
おばあちゃんは、相も変わらずにこやかに答えた。
「嫌ではないよ。でもね、おじいちゃんの建てた家を死ぬまで守りたいんだよ。この家にはおばあちゃんの思い出が一杯埋まってるんだよ。簡単には出ていけないよ。それにあんたたちが、ひごまに遊びに来てくれる。それ以上の贅沢は望んでいないよ」
僕は黙ってしまった。
おばあちゃんにとって僕らと暮らすのは贅沢だという言葉に。
そして僕も気付いた。
僕がおばあちゃんの家に遊びに来るのも贅沢のひとつだと。
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