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そして、自宅にと帰り、クロは新しく家族となった。
来たばかりの頃は三日に一度は病院に連れていっていたが、クロは徐々に元気になった。
始めの一月は僕の手から直接、エサを食べさせていた。
敵意がないということをクロに伝えるため、僕は必死だった。
絶対に死なせはしない。
そう心に決めていたから。
元気になったクロは夜はよく僕の布団に潜り込んできた。
僕は嬉しくなり、クロを抱っこすると嫌そうに泣いた。
そのときのことを言うなら境界線がなくなったということだろうか。
多分、暑いとか苦しいとか、無闇に抱っこしたがる僕に訴えていたのだろう。
直接、手から食べていたエサも皿から食べるようになった。
なかった食欲も回復して、カリカリと嬉しそうに食べるようになった。
僕は幼稚園に行っている時間以外はクロにべったりだった。
小さな黒い猫は、僕が投げるゴムボールを健気に追いかける。
両親は、よく言った。
まるで兄弟だねと。
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