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何度目になるか分からない通院で医者も驚いていた。
「こんなに元気になるとは……。一月もたないと思っていたのに」
僕はクロを抱っこしたまま、舌を見せた。
「残念でした。クロは無茶苦茶元気だよ」
医者は苦笑いをする。
「本当に君を求めたのかもな。長年、獣医をやってるが人と動物の絆の仕組みは今でも分からん」
「絆?絆ってなに?」
「お互いに大切にしてるってことだよ」
「へぇ。絆か……。クロと僕の絆か……。へへ」
僕はクロをひょいと抱き上げた。
「僕らの絆は誰にも負けないもんね」
そんな僕のもうひとつの楽しみは絵を描くことだった。
画家となった今では恥ずかしいだけの絵だが、クロが居眠りしているときとかによく、クロの絵を描いていた。
黒い猫を描いているだけに画用紙は、ただの真っ黒になることも多かったが僕は楽しかった。
そんなことを繰り返しながらクロと一緒に大きくなっていく。
僕は本当にそう思っていたんだ。
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