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その呟きに、真面目に答える。
「いえいえ、本気で見惚れてました。いやあ、あたしはやっぱり日本人が好きだなあ!格好いいですねえ、岡崎さんは相変わらず!」
一体いつになったら彼女を作るのだ。彼女だよって素敵な女性を紹介してくれるのを楽しみにしているのに。・・・まあ、前回同様に、彼氏だよ、でもいいけど。
この爽やかな色気溢れるイケメンの店長は、男女ともに愛せる特質を持ったバイセクシャルなのだ。便利か不便かは、その人による。
この冬の終わり、というか春の始めに、お付き合いしていたこれまた端整な男性と別れたばかりの岡崎さんだった。
前で苦笑を微笑に変えて、これこれ、と岡崎さんが嗜める。
「薫ちゃんには滝本さんがいるでしょう。そういえば、最近見てないけどあの格好いい人は元気?」
ふいをつかれて、あたしは真顔で固まってしまった。
岡崎さんはそれを見逃さなかった。朱里ちゃんからの新しい注文に返事をしながら気がかりそうにこっちを見る。手を動かしながら、あたしの様子を伺っているようだ。
あたしはゆっくりと素晴らしいコーヒーに口をつける。
・・・ああ、美味しい。ここのスペシャルはいつでも体の細胞を解きほぐすみたいだ。
片肘をついてぼーっとしていると、料理を出し終えた岡崎さんが戻ってきた。
「・・・大丈夫?滝本さんとうまく行ってないの?」
呆けていたあたしはほえ?と気の抜けた返事を返して、それから慌てて姿勢を正した。
「いえいえ、そんなんではなくて・・・。というか、昨日帰国してからまだ会ってないんです。さっきお土産を会社に持っていったら・・・えーっと、どうやらヤツは蒸発したらしくて」
言葉を選べずについそのまま言ってしまった。
「―――――――蒸発!?」
大きな声を出してしまった岡崎店長は、自分の口元に手をやってからカウンターの他のお客さんに笑顔で謝った。
カウンターには綺麗なお姉さん達が昼間から気合の入った化粧で並んでランチを食べていた。
皆さん美しい笑顔を浮かべて大丈夫ですよ、と返す。
この人たちは全員、この岡崎店長のファンなのだろう。さっきからチラチラと視線を浴びていて、実はちょっと鬱陶しいあたしだ。岡崎さんと親しげに話すこの女は一体何?とか思ってるんだろうなあ~・・・。
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