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思わずあたしは目を見開いた。あたしが知ってからのあの二人は、顔をみれば鬱陶しそうな表情で憎まれ口ばかり叩いてるけど?たまに胸倉つかみあって喧嘩してるけど?
あたしの反応に飯田さんが口元を緩めた。
「調査で遅くなって夜事務所に戻ると、机の上に足をのっけて二人で黙ってビール飲んでたことがありましたよ。入っていいものか悩みました」
・・・それは悩んだことだろうなあ~。なんていうか、どっちも迫力が半端ない男達だもんな。しかも二人の人間がいて沈黙がその場を支配しているなんて、恐ろしくて入れない。あたしは過去の飯田さんに同情する。
「幼馴染とか、そんなんなのかな。出会いが全く想像出来ない・・・」
あたしの呟きに軽く頷いて飯田さんも言う。
「興味はありますけど勇気がなくて聞いたことはないですねえ。湯浅さんはもしかしたら何か知ってるかもしれませんけど・・・。でも幼少時からの付き合いって感じではなさそうな・・・」
勇気がなくて聞けない、ね。まったくその通りだ。
「・・・全然似てないけど、同じ種類の人間ですよね、あの二人」
自分の世界と範囲が確立されていて、独特の世界を構成しているって点が。それと、大事なものに対する許容範囲の狭さとか。
「同じ種類?」
飯田さんが首を傾げたので、手をヒラヒラと振って言葉を繋ぐ。
「基本的には、排他的かつ攻撃的な人間だと思うんです。その気になれば氷のように冷淡になるところとか。出来たら係わりたくない人間・・・みたいな」
成る程と、飯田さんが頷いた。
「そうですね。そういう意味で、私は野口さんを尊敬します。あの所長と付き合える女性がいるとは思いませんでした」
ぐっとつまってしまった。まさか、そんな返しがくるとは!やるなあ、飯田!!
あたしはゴニョゴニョと口の中で言い訳をした。
「・・・ヤツに遊ばれてる可哀想な女なんです。尊敬は出来ないでしょ」
すると飯田さんは笑って返したのだ。
「遊ばれてる?引っ掻き回しているのは野口さんでしょ。所長が慌てるのはあなたが絡んだ時だけです」
あたしは居た堪れなくなって、もういいですと手を振った。
・・・ああ何てこと。飯田さんに遊ばれてしまった。
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