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片手を顎に添えてもう片方の手をエプロンを巻きつけた腰にあて、岡崎さんがじーっとあたしを見ている。
・・・・ううっ・・・お、岡崎店長・・・超真面目な顔で見てるけど・・・やっぱ変?変!?あああ~緊張する!
美形からの視線に耐え切れなくてパッと前を向いた。
落ち着けあたし!さあ、深呼吸だ。っていうか、イケメンて色んな意味で力があるんだなあ!ああ・・・心臓に悪い・・・。
モーニングを待っている間に店が空き始め、ゆったりとした雰囲気がカフェに漂いだした。
あたしはそれにつられてぼーっと窓から外を眺める。
今日も太陽はまっすぐに強い光を地面に落とし、朝の町を輝かせる。
この、どこかに・・・・。
あたしはぼんやりと、長身の男の影を思い出していた。
・・・このどこかに、ヤツが生きて存在してますように。
神様なんて信じてない。目に見えないから信じてない。だけど、もしいるならお願いしたいことがある。
このまま会えなくなるとは思いたくないの。
あたしは、もう一度、あの男に――――――――
「えらくイメチェンしたんだね、薫ちゃん」
頭の上から声が降ってきて、ハッとした。
「え?」
振り仰ぐと、素敵な岡崎さんがモーニングのプレートを持って微笑んでいた。大きなウィンドーから差し込む光で整えられた黒髪が艶を出して煌く。
長い睫毛の瞳を細めて、美形があたしを見て笑っている。
一気に現実に引き戻され、あたしは思わず瞬きを繰り返す。
そうだ、ここはカフェだ。あたしはご飯を食べに来たんだ。
客の波が一度引いて落ち着き、店長自らが運んできてくれたらしかった。
岡崎さんが優雅な動作であたしの前にお皿を置いてくれる。そしてにっこりと笑った。
「ビックリしたけど、よく似合ってるね。薫ちゃんは首が長いから、髪が短いと綺麗な線が出ていいよ」
その言葉にあたしは脳内糖度が一気にアップしたのを感じた。
うっひゃあああああ~!!岡崎さんたら岡崎さんたら!そんなとろとろになるコメントを~!!
ああ・・・幸せ。一瞬滝本はどこかへぶっ飛んで、あたしの世界はピンク色に染まってしまった。許せ、滝本。あたしは所詮その程度の女なのだ。
もう一生ショートカットでいようかな。岡崎さんに褒められるならそれでもいいぞ!
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