孤独な冬休み

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大学四年生の冬休み、彼は一人室内で悶々として過ごしていた。彼女とデートすることもなく、また友人と遊ぶこともなく。一年前から付き合っている彼女は、互いに国家試験も近いから、と今は連絡を取るだけに止めていた。 そして同大学の友人も同じような理由で遊ぶことを断っているが、元々そこまで深い関係ではないので、それが原因とは割り切って言うことも出来なかった。 高校の友人もそうだった。地元の友達は一人もいない。彼は周囲の人間との関係が希薄であった。 だからこうして部屋で一人、机に肘をつきながら益体も無い思考を繰り広げていた。 先述した通り、国家試験が近いのだからその勉強をすれば済む話なのだが、如何せんどうにも身が入らず捗らなかった。 彼には思い当たる原因は沢山あった。
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