そのままの君で

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「そういえば、どうだった?例の双子。」 「別にどうもしねぇな。」 先日理事長室まで案内し、片割れは俺の下僕になった。 「ふーん。沢端会長にそんな表情をさせるんだから大した子たちなんだね?」 アイツとのやり取りを一部始終思い出していたら、口元が緩んでいたのだろうか。 「ま、ギャーギャーうるせぇガキどもだったな。もう一人は大人しかったけど。」 そう、その時は面白そうな奴がまさか恋人になるとは思わなかった。 くるくると変わる表情、先輩を先輩とも思わない生意気な言動。 そして、俺が「沢端の長男」ということを知らないのだろう。 何れ、周りの奴らから聞かされただろうが、それでも奴の態度はいつまでも変わる事はなかった。 それが、俺にとっては新鮮だった。 俺を一人の人間として見てくれたのだから。
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