第1章

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詩歌句レッスン  永田和弘 歌でどの句がむずかしいかなどという議論は意味がないのですが、歌をやり始めた初心者の歌では、結句で一首を台無しにしているという例が圧倒的に多いと感じています。{省略} 結句で作者の言いたいことがはっきりと述べられている歌が多すぎるのです *子らの声無き廃校の木の影に本読む像の寂しからずや* 最近選歌の中で出会った一首です{省略} 結句の「寂しからずや」、実はそれこそが作者のもっともいいたかったことだった筈です。 歌では「いちばん言いたいことは、言わずに感じてもらう」、この呼吸が大切です。寅さん風に「それをいっちゃぁ、お終めえよ」と言ってもいい。 作者は、自分の感じたことを間違いなく読者に手渡したいし、本当に私の思っていることはこれだけで感じ取ってくれるだろうかと心配でしようがない。どうしても言い過ぎてしまう。その気持ちはよくわかるのですが、ぐっと我慢する {省略}私の実感としては言い過ぎて落とした歌は、言い足りないで落とした歌の数十倍にはなる。 結句で言い過ぎること、これを私は「結句病」と呼んでいますが、「結句病」は読者を信頼できないところからおきる症例です。決して結句で念を押さない。読者を選者を信頼して、あるいはそれ以上に、彼らをためすようなつもりで思い切ってジャンプしてみて欲しいものです。 以上  永田和弘が南日本文芸欄に寄せたものの大要です。 ヱブの歌人にも是非読んでもらいたくて投稿しました。
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