エピローグ

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あの時の〝しめやかに〟とはとても言い難い葬儀を思い出して、雪の積もった石段を下りながら忍び笑いを漏らした。 町内の大工さんが結集して朝までかかって突貫工事で客間の床を修復してくれたものの、翌日、庭に立つ参列者は、今度は仏間が抜けて親族が仏様もろとも落ちるんじゃないかと、期待に満ちた目で固唾をのんで見守っていた。 結局、期待に応えることはなく葬儀は滞りなく終わったけれど、あの時の残念そうなみんなの様子には、お祖父ちゃんも三途の川を渡りながら大笑いしていたと思う。
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