エピローグ

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ハガキを濡らさないようにコートのポケットに入れると、空を仰いで目を閉じた。 胸に去来するのは、 今も輝きを失わない日々。 懐かしい笑顔。 幼かった恋のもどかしさと後悔。 そして、甘く苦く胸をしめつける恋情──。 それらはいつまでも消え去ることはないだろう。 このハガキが届かない場所で、篤史は新しい歩みを始めている。 大学の同級生から、篤史は都内の支店に転勤して関西を離れたと聞いた。
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