第1章

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「肖像権の侵害で訴えますよ」 そう言うと男はカメラから顔を離し私を見つめる。 さすがにこれは効いたか。 「まあ、そういうことになるか」 と言って困ったように頭を掻く。 わかればよろしい、と思って帰ろうと 男とは逆の方へ向かう。 すると 「ねえ、待ってよ」 そう言った男に呼び止められる。 最大限に顔を歪ませて振り向いた。 「なんですか」 「いらないと思ってる?」 質問の意味がわからずに なにが、と問いかける。 「いのち」 そう答える男の目は真っ直ぐに私を見つめる。 、
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