第1章

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「世界にはさ、生きたくても生きれない小さな小さな命がごまんとあるんだ。」 そう言いながらこっちに歩みを進めてくる。 「日本にもその小さな命はたくさんあるけど、世界に出ればそれはもっとある。毎日を生きるために戦う命がある。5秒に一人死んでいく世の中で生きれる命を無駄にしたらだめだ。」 そう言って私の前まで進めた歩みを止めて私の頭に手をぽんっと置き子どもを慰めるように顔を覗き込んでくる。 私は今年で26だ。 見ず知らずの人に子ども扱いなんてされて気分がいいわけない。 それに何も知りもしない男に“いのちを無駄にするな”なんてことを言われたくない。 私だっていつ消えるか分からないいのちと戦っている。 、
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