3-二宮浩平の場合

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女の子と付き合ってた時は、そんなに気にしたこともなかった仕草を、雅人がやるとなぜか俺は反応してしまう。 今まで、シャツをきゅ、と引っ張られてこんなにきゅんってなったのは、何回あるだろう? 「じゃぁ、どっちがホームランだせるか勝負な!」 「はぁ?そんなの、浩平が勝つに決まってるじゃん。俺、運動神経悪いから。」 「そんなことないよ、雅人だって、奇跡が起こるかもしれないし!」 「おま…」 そんな他愛のない会話をしながら、下駄箱で靴に履き替える。 「…暑くなってきたな、最近…」 ぶつぶつと言いながら、雅人が耳に髪をかける。 その仕草にも、目が自然といく。 …あー…耳元にキス、したい… 誰もいなさそうだし、一瞬だし、いいかな… そう思って、雅人の耳に唇を寄せようとした時だった。 「あっ、…武田くん!」 突然する女の子の声で、俺と雅人は思わず距離を取る。 危なかった…というか、今の俺たち、変に見えなかっただろうか。 「何?佐々倉。」 声をかけてきた女の子の名前は、佐々倉紫織(ささくらしおり)だった。
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