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女の子と付き合ってた時は、そんなに気にしたこともなかった仕草を、雅人がやるとなぜか俺は反応してしまう。
今まで、シャツをきゅ、と引っ張られてこんなにきゅんってなったのは、何回あるだろう?
「じゃぁ、どっちがホームランだせるか勝負な!」
「はぁ?そんなの、浩平が勝つに決まってるじゃん。俺、運動神経悪いから。」
「そんなことないよ、雅人だって、奇跡が起こるかもしれないし!」
「おま…」
そんな他愛のない会話をしながら、下駄箱で靴に履き替える。
「…暑くなってきたな、最近…」
ぶつぶつと言いながら、雅人が耳に髪をかける。
その仕草にも、目が自然といく。
…あー…耳元にキス、したい…
誰もいなさそうだし、一瞬だし、いいかな…
そう思って、雅人の耳に唇を寄せようとした時だった。
「あっ、…武田くん!」
突然する女の子の声で、俺と雅人は思わず距離を取る。
危なかった…というか、今の俺たち、変に見えなかっただろうか。
「何?佐々倉。」
声をかけてきた女の子の名前は、佐々倉紫織(ささくらしおり)だった。
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