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「まぁ…付き合うことになるんだったら、明日にでも言ってくれるんじゃね?いつも、雅人ってそんな感じじゃん。」
口の中に入ってた餃子を飲みこんだ後、大河がそう言った。
「雅人っていっつも付き合うことになったって言うとき、全然嬉しそうじゃないよね。なんでだろう?」
「さぁ…」
「でも、えっと、佐々倉さん?だっけ。どんな人か、俺知らないなぁ…」
「…真面目だった気がする…佐々倉ってやつ…」
「え、何、大河付き合ったことある人なの?」
じと目で大河を見る龍。
同じ顔なのに、龍がやると可愛く見えるのが不思議だ。
なんでだろう?
「ち、違うって!その…ぁー…前付き合ったやつの…知り合い?みたいな…」
「その子の友達ってこと?」
「ま、まぁそういうことかなぁ…」
大河は言い訳をしながら、俺に、助けて、と目で訴えてきた。
「…言ってくるのを待つわ。別に、雅人が誰と付き合おうとあまり関係ないしな。」
嘘をついた。
今、雅人は俺と付き合っているはずなのに、佐々倉紫織の告白を受け入れるのかどうか、俺にはすごく関係のあることだ。
…と、思っているのは俺だけで、雅人は別にいいのかな…
お試しで付き合ってみたけど、つまらないと思ってるのかも…
「じゃぁ、俺たちも下手に詮索しないほうがいいな。」
「そだねー。」
結局俺は餃子をご馳走になった上に一緒に宿題をやらせてもらったから、大河は始終不機嫌だった。
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