ホワイトボード

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  高校に通い始めた頃は、このホワイトボードは何なのだろう? と不思議に思う程度で、嫌悪感と言うほどのも物を持ち合わせてはいなかったが、登校日数を重ねる内に、一種の怒りのようなものが募っていった。 それは怒りであり、苛立ちであり、やるせなさだった。 けれども同時に、その嫌悪の理由を私自身、計り兼ねていた。 はっきりとした理由が分かったのは、私の友達がそのホワイトボードに書き込みをした時のことだった。私の周辺でそのホワイトボードを実際に使用する人は今まで一人もいなかったので、少し驚いた。単純に何を書き込むのだろうという興味もあった。 友達が書き込んだのは『犬の里親募集中!』という文字だった。話を聞くに、その子の家で飼っている犬が出産をして、子犬の引き取り手に困っているということだった。よくある話に思えたし、有効にこのホワイトボードを使っているなとも思った。 それでも、というより、だからこそ、有効にこのホワイトボードが活用されているところをまざまざと見せつけられたからこそ、私は私の嫌悪の出処を知れたのである。
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