ホワイトボード

6/8
前へ
/8ページ
次へ
  最初に湧いてきたのは怒りだった。 悪趣味ないたずらだと思ったし、明日学校でどんな噂をされるか考えただけでも、嫌になった。だけれど、少しの間立ち尽くしているうちに熱が冷め、冷静さを取り戻して来ると、私は一つのことに気付いた。 あの真っ黒なホワイトボードを綺麗に消して、こんなことを書くには相当な時間を要する。 さらに、今朝の時点では真っ黒だったのだから、今日の日中に実行されたはずなのだ。 誰の目にも触れずに実行することは不可能に近いことのように思えた。 つまり、誰かは分からないけれど、これを実行した人は、いたずらなんかではなく、相当な覚悟をもって実行したのではないかと思ったのだ。 だからと言って、迷惑極まりないことに変わりはないけれど、その度胸くらいは認めてもいいかもしれないと思えるようになった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加