第一夜~絶望~

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次にシェイクスピアが発現させたものは刀、魔女殺しの邪悪を纏った刀。 「お前のその力、毒もきかないみたいだな。傷も完璧に塞がってるし……なら何回斬ればお前は死ぬ?ちょっと試してみようか!」 無邪気に狂った笑顔の魔殺師、シェイクスピアは私を殺すことしか考えていない。 「フェニックス!」 炎を纏った私に向かって臆することなく刀を振り下ろす、炎を切り裂き全力で振り下ろされたそれを私は片手で受け止める、一切の迷いはない、焼き尽くす。 「奏くん……」 「なんだ?殺してみろよグリムヒルト、俺を、憎むべきはお互い様だろう?」 そして私は決心する、ずっと感じていた違和感さえも燃やし尽くして、目の前に立ちはだかる魔殺師、シェイクスピアを倒す。 「私も本気で!」 フェニックスの力を完全に覚醒させて本来の炎、不死鳥の悪魔の灼炎を纏う、蒼い炎を、万象一切を焼き払う悪魔の蒼炎を。 「それでこそだ、俺は悲劇を演じ続ける。そして次の悲劇はオセロー!もっともっと殺し合いを楽しもう……悲劇的に劇的に!」 シェイクスピアの手には一丁の拳銃、そしてその銃口は私ではなく彼自身の蟀谷に向けられる。 引き金にかけられた人差し指、無邪気に狂った笑みは消えることなくしっかりと握られたその手の銃は悲劇を生み出す"悲劇"。 「なにを……奏くん……」 「俺は演じているだけだよ、大衆が求める悲劇を!」 なんの前触れもなく躊躇いもなく引き金を引いた人差し指、打ち抜かれた頭、溢れ出す真紅の液体は彼の周りに吹き出す。 いまだに握られた銃、両足で踏みしめる地面、倒れる事の無いシェイクスピアは狂気の笑みを浮かべている。 私は理解できないでいた、けれど終わりだとも思っていなかった。 「自分の血に魔力を与える悲劇オセロー、意思と魔力を持った血を操る能力。グリムヒルト、お前の炎もこいつでかき消してやる」 その言葉を合図に蛇のようにうねり私に牙をむく血と魔力の塊。 私は蒼い炎で応戦する、片っ端から燃やして、蒸発させて、全て消し去る。 「ざぁんねーん、アウト!」 嬉しそうなその声を聴いた直後、信じられないことが起きた。 私を守るように包んでいた炎が消え去った、一瞬のうちに欠片も残ることなく私の周りから消し去られた。 「いっただろ?かき消すって……」
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