オレクロ報告会

　定期的に開催される報告会で、新人の男はきょろりと周りを見回した。スーツ姿から着物、日常的な私服まで参加者の服装は多岐に渡っている。静かな空間で、報告者は朗々と声を張り上げた。

「――以上、相手からの反撃を防ぐため、連絡手段の妨害を徹底しようと考えています」

　今回の報告者が読み上げる情報を耳にしつつ、さまざまな情報が詰まった書類に目を通していく。

　多数の会員が綴った報告書の中から、吟味されて作り出された書類は読みやすい。これを基本的にまとめるのは、会長を中心とした幹部だ。

「現在、内部で紛争が勃発しておりますが、望まれた品を献上することにより停戦へ持ち込めそうです」

　書類には家庭内別居は停戦へと持ち越し中と綴られているが、報告者の目尻に輝く涙から懐が寂しく吹き荒んでいる現状を容易に想像できた。