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私服姿のだらけた幹部が、別の派閥ではあるが会長である自身に告げた言葉が許せなかったのだ。それだけなら腹立ちながらも我慢できたが、守る者への言葉が無遠慮で耐えることなど無理だった。
『なよなよした男なんて、男じゃねえ! 草食が増えたら、比例してそっちの肉食が増えるだろ』
『釣り合いが取れていいじゃない。それに、草食だろうと肉食だろうと愛でるべき者は変わらないわ』
『だめだろ、大和撫子が絶滅してしまう』
『夢見すぎて気持ち悪いことがあるわよ、あんた達』
『なんだとっ!』
掴み合いの喧嘩にまで発展しそうな派閥を無視して、自分にとって大事な写真を凝視したり、保存したメールを読み返したりとどの派閥も関わる気はゼロだった。
そこで立ち上がったのが、龍一会長である。バンッと強く机を叩き、彼は言葉を紡いだ。
『俺たちは守りたいものは違うが、同じ志を持つ仲間だ。喧嘩なんてするな。手を取り合い、支え合えるはずだろう? ……それと、俺の大事な癒し休憩タイムを邪魔するな』
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