5.それでも季節は巡る

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「もう勝手にいなくなるなよ」 「……うん」 「そばにいろよ。……物理的に無理でも、気持ちはそばにいてくれよ。……俺はもう」 愛しい飯田の顔を見ながら、言う。 「お前がいないなんて、無理」 飯田の砂まじりの左手が、俺の右手に重なる。 「……いるよ。ずっと。俺はお前のもんだ、拓海」 俺たちには、まだまだやらなきゃいけないことが山積みで。 俺には俺の、飯田には飯田の人生がある。 でも、これからの未来を、愛しい人と、気持ちを寄り添わせて進めたら……。 もう、何もいらない。 あいつの体温を感じながら、俺は静かに目を閉じ、幸せに浸った。 思い出すのは、いつも。 ――あの夏。 思い描くのは。 あいつといる、未来。 END
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