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週明け、火曜日放課後。
今日は飯田と図書館の約束もないし、家に帰ってゲームの続きでもやろうと最寄り駅までの道を一人歩いていた。
「マッジで?」
「てか、ありえなくなーい?」
駅前、デカイ声で騒いで目立ってる集団がいた。
「同じ制服じゃん……。迷惑な……」
近づくにつれ、それが見知ったやつらだと気付いた。
「女連れかよ……」
そういや火曜日暇かとか言ってたな、陣内が。
陣内、安藤と飯田が、三女の制服を着た5人くらいに囲まれてた。
かなりスカート丈が短い。三女はお嬢様校なので間違いなく校則違反だろう。化粧もケバいな……。
「お、広野じゃね」
安藤が気付いた。
気付くなよ、今日はお前らと関わりたくないんだ。
「ホントだ。広野ー今帰り?」
「……うん」
「俺も帰ろっかな」
く、空気読め!飯田!
「えぇーっ!ナリくん帰っちゃうのぉ?ナリくんいないとかマジないしぃ」
一際ケバいのが言う。
睨むな!俺のせいじゃねー!
「……たまには付き合ってやれよ。じゃあな、飯田」
俺は片手を上げると、飯田の顔を見ないように小走りで改札を抜けた。
後ろでカラオケ行こうぜー、とか言う陣内の能天気な声が聞こえた。
だよな。
あいつ、モテるんだよな。イケメンだしな。
なんか当然の現実を目の当たりにして、ちょっと腰が引けてる自分に気付いた。
そもそも縁なさそって思ってたもんな。
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